その「環境配慮」は本物か?「環境表示ガイドライン」改定のポイントと実務への影響
- 1 日前
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近年、商品やサービスに「カーボンニュートラル」「CO2排出ゼロ」といった言葉を添える企業が増えています。しかし、その根拠が曖昧であったり、消費者に誤解を与えたりする表現は「グリーンウォッシュ(見せかけの環境配慮)」として、国内外で厳しい視線が注がれています。
こうした背景を受け、環境省は2024年(令和6年)8月、約10年ぶりに「環境表示ガイドライン」を改定しました。今回の改定は、脱炭素社会に向けた企業の取り組みを正しく消費者に伝えるための「羅針盤」となるものです。

1. なぜ今、改定が必要だったのか?
欧州を中心に、世界ではグリーンウォッシュを規制する動きが急速に強まっています。日本においても、消費者が適切な製品選択を行えるよう、また、真摯に取り組む企業の努力が正当に評価されるよう、より具体的で厳格な指針が求められていました。
2. 改定の大きな3つのポイント
① 「カーボンニュートラル」等の表現に対する厳格化
今回の改定では、気候変動に関する用語(カーボンニュートラル、脱炭素、ネットゼロなど)の使用について、以下のことが強く求められています。
ライフサイクル全体での考慮: 製造過程だけでなく、原材料の調達から廃棄に至るまでのライフサイクル全体を考慮した表示が望ましいとされました。
オフセットの明記: 排出削減努力を行わず、クレジット購入(カーボン・オフセット)のみで「ゼロ」と謳うことは避け、その内訳(削減量とオフセット量)を明確にすることが推奨されています。
また、従来から示されていた「環境表示における基本項目」については、
あいまいな表現や誤解を招く主張を行わないこと
例:「エコ」「環境にやさしい」など根拠が不明確な表現の禁止。
主張には必ず説明文(根拠)を付すこと
消費者が理解できる形で、何がどの程度環境配慮なのかを明示。
製品のライフサイクル全体を考慮すること
一部工程のみを強調し、全体として環境負荷が高い場合の表示を避ける。
主張の検証に必要なデータ・評価方法を提供可能にすること
第三者が確認できる透明性の確保。
比較主張はLCA評価や数値に基づき適切に行うこと
「当社従来品比○%削減」などの比較は客観的根拠が必須。
これらはISO/JIS Q 14021(自己宣言による環境主張)に準拠した内容であり、国際整合性を強化しています。
② 科学的根拠(エビデンス)の提示
「環境にやさしい」「エコ」といった抽象的な表現は、今後はさらに注意が必要です。
最新のデータ: 根拠となるデータは最新かつ科学的な手法に基づいたものである必要があります。
比較の妥当性: 「従来品より30%削減」と表示する場合、比較対象が具体的で(例:2023年モデル比)、かつ一般的であることが求められます。
③ 情報へのアクセシビリティ(透明性)
パッケージの限られたスペースですべてを説明するのは困難です。そのため、QRコードやWebサイトを活用し、消費者が詳細な根拠情報(第三者認証の有無や算出根拠など)に容易にアクセスできる仕組みを整えることが重要視されています。
3. 企業が取るべきこれからのアクション
今回の改定は、単なる規制強化ではなく、「質の高い環境コミュニケーション」への招待状です。企業が取り組むべきステップは以下の通りです。
社内表示の総点検: 現在使用している販促物やWEBサイトの表現が、ライフサイクル全体を考慮しているか、根拠が古くなっていないかを確認する。
データ管理の徹底: LCA(ライフサイクルアセスメント)に基づいた排出量算定を強化し、いつでも根拠を提示できる体制を整える。
ストーリーを伝える: 単なる数値だけでなく、どのようなプロセスで削減を実現したのか、将来のロードマップはどうなっているのかを誠実に伝える。
最後に
環境表示は、消費者との「信頼の架け橋」です。今回のガイドライン改定を機に、自社の脱炭素の取り組みを「正しく、分かりやすく」伝えることで、ブランド価値の向上に直結します。
出典:環境省、「環境表示ガイドライン」の改定について



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