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イベント開催における脱炭素施策Ⅱ~STOP グリーンウォッシュ~

世界的に気候変動への対策が急務となっており、CO2排出削減が重要な課題とされている。イベントは多くのエネルギー消費や資源使用を伴うため、イベント運営による環境負荷が注目されている。昨今、多くの国や地域で、炭素排出を抑制するための規制や政策が導入されている。企業や団体が環境配慮の取り組みを強化し、持続可能なイベント開催が求められている。

一方、脱炭素や環境保護においては、表面的な施策ではなく、実際に環境への負荷を軽減するための具体的で実効性のある取り組みが求められている。企業業やイベント主催者の「本物の」環境への取り組みを重視し、十分な環境配慮をしていないにもかかわらず、環境に優しいと宣言する行動は、信頼を失うリスクがある。

グリーンウォッシュは、環境に配慮しているイメージを与える「グリーン」と、嘘をごまかすという意味を持つ「ホワイトウォッシュ」をかけ合わせた言葉で、企業や団体が、商品や活動のアピールの目的で、実際の環境配慮よりも過剰に宣言することを指す。

イベント開催脱炭素

当社は、「イベントMICEサステナブル運営コンソーシアム」が制作した「イベント・MICE関係者のための使いやすいサステナビリティガイドブック」の内容を抜粋し、企業、主催者、イベントベンダー向けに実践可能な脱炭素施策及びグリーンウォッシュを回避するポイントをまとめた。


企画・デザイン段階

a. CO2排出量の削減に取り組む     

  • CO2排出量の算出および削減目標を設定する

  • グリーン電力・再生可能エネルギーを使用する

  • カーボンオフセットに取り組む(クレジット・クレジット付商品の購入)  

  • 省エネ・節水・廃棄物削減等に取り組んでいる会場・施設を選ぶ

  • 公共交通機関で移動できる会場を選ぶ

  • グリーンビルディングや建築物の環境性能の評価システム等を活用する

  • (会場が遠隔地の場合)シャトルバス等、代替交通手段を提供する

  • 輸送距離短縮のため、会場付近での資材調達を行う

  • 環境に配慮した車両 (低公害・低燃費) などを積極的に導入・利用する

  • 自転車等による来場を促す

b. 製作物

  • レンタルやシェアサービスを増やす

  • 環境ラベル等の認証を取得しているマテリアル、機材を積極的に取り入れる

  • グリーン電力により製造された製品を使用・購入する

c. 飲食

  • 場内で販売する飲食物は地元の食材を使用する(地産地消)

  • 残った食品の取り扱い方法を用意する

  • サステナビリティへの取り組みに賛同するサプライヤーを選定する


設営・施工(撤去含む)

  • 輸送に際して、CO2排出量の削減に向けて取り組んでいる

  • 貨物輸送評価制度の評価を得る、または得ている輸送手段を選択する

  • 実施会場の近隣で資材調達を行い、輸送距離を短縮する

  • 効率的な資材の積み込み・積み下ろしを行うことで、輸送車両台数を減らす

  • エネルギー効率の高い機材や設備を導入する

  • (長距離輸送時の)鉄道輸送を活用する

  • 重機の共同使用による台数削減、電力使用時間の削減

  • 搬入出スケジュールを細かく設定し、待機車両を減らす

  • 共同搬入出により、車両台数を減らす


運営

  • 開催期間中のCO2排出量削減や廃棄物の抑制・資源の再利用に取り組んでいる

  • 来場者へ公共交通機関の利用を呼び掛ける

  • 駐車場の利用を制限する

  • 来場者の来場経路を聴取し、移動に伴うCO2 の排出量を把握する

  • オフセット付きチケット・乗車券・航空券などを用意する

  • 冷暖房を使用する際は、環境省の推奨する室温設定を心がける

  • 使用時以外は電源を落とす等、機材・バックヤードの電力消費量を抑える

  • グリーン電力(太陽光発電・風力発電等の「再生可能エネルギー」)を使用する

  • 省エネ・節水型の設備を使用する

  • 使用電力を可視化する

  • 参加者にウオームビズ、クールビズを呼びかける


会期終了後・評価

  • CO2排出量、廃棄物排出量、リユース・リサイクル量・率などを算定、評価する

  • 次回開催に向けた改善策を検討する

  • サステナビリティレポートを作成する

  • 取り組み施策および実績を公表する

  • WebサイトやSNS等で、サステナビリティに関する取り組みを発信し、イベント自体の開催価値を高め、開催効果の最大化に努める

  • 報告書を基に、主催者組織内で報告会を行う

  • 開催地の自治体、地域コミュニティへの報告、ミーティングを行う

  • 次回開催までに改善する項目を決める

  • 次回開催で取り組みを増やす・高める項目を決める

  • 次回開催に向けて必要なリソースを抽出する


グリーンウォッシュを回避するためのポイント

本来、向き合うべき重要な課題ではなく、簡単に取り組める課題に取り組み、アピールすることもウォッシュとして批判の対象となる。これには、自分に都合のよい情報だけを発信すること、それにより都合の悪い情報や矛盾する事実を隠すことも含まれる。グリーンウォッシュを回避するためのポイントは以下の通りである。

  1. 自社/自団体の行動が、コミュニケーションする施策の目指すところと矛盾していないか

  2. 環境に関する訴求では、内容が国際社会での合意、科学的見解と合致しているか

  3. 国や地域、時代や社会の状況を考慮した判断がされているか

  4. 根拠がない、情報源が不確かな表現を避ける

  5. 事実よりも誇張した表現を避ける

  6. 言葉の意味が規定しにくいあいまいな表現を避ける

  7. 事実と関係性の低いビジュアルを用いない

  8. 製品・サービスの全体像と整合性がある

  9. 条件付きの場合は、明確に示す

  10. 耐久性や廃棄についての情報、ラベルを正しくつける

  11. 正しい選択をしてもらうために必要な情報を隠さない

  12. 載せきれない情報にも簡単にアクセスできるように配慮する


※株式会社テックシンカーは、イベント開催において実効性のある脱炭素施策、CO2排出量の可視化、目標設定、カーボンオフセット等を支援しております。


引用:「イベント・MICE関係者のための使いやすいサステナビリティガイドブック」


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