資源・製品の価値の最大化を図り、資源投入量・消費量を抑えつつ、廃棄物の発生の最小化につながる経済活動全体の在り方が強調されている「循環経済(サーキュラーエコノミー)」の取組は、強化すべき分野として位置づけられるなど、国際社会共通の課題となっている。
こうした循環経済の取組を持続的な取組とし、社会経済活動の中で主流化していくために、政府としては、2030年までに循環経済関連ビジネスの市場規模を、現在の約50 兆円から80 兆円以上にするという目標を掲げており、GXに向けた取組の一つと位置付けるとともに、取組推進に向けた環境整備を進めている。
2030年に向けた施策の方向性
・素材ごとに、ライフサイクル・バリューチェーン全体でのロスゼロの方向性を目指していく必要がある。素材や製品のライフサイクルの段階の多くを海外に依存しているモノについては、デジタル技術を活用し環境面も含めたトレーサビリティを担保することにより、新たな循環経済関連ビジネスやあらゆる主体の行動変容の基盤とするほか、サプライチェーン上での様々なリスクや社会的責任への対応を確保することが今後ますます重要になる。
・生産段階における使用・廃棄段階の情報を元に修繕・交換・分解・分別・アップデート等が容易となる環境配慮設計や、再生可能資源利用の促進、使用段階におけるリユース、リペア、メンテナンス、シェアリング、サブスクリプション等のストックを有効活用しながら、サービス化や付加価値の最大化を図る循環経済関連の新たなビジネスモデルの取組を推進する。
資源循環の市場創出戦略
動静脈連携による資源循環を促進し、資源循環システムの自律化・強靱化を図るため、今後10年でデジタル技術を活用した情報流通プラットフォーム等の構築を図り、動静脈連携の加速に向けた制度枠組みの見直しや構造改革を前提としたGX投資支援などで資源循環市場を創出し、以下の戦略が掲げられている。
・カーボンニュートラル・サーキュラーエコノミー対応型の資源循環システム施設の社会実装
・金属リサイクル原料(廃電子基板・廃蓄電池)の処理量倍増
・プラスチックリサイクル量倍増、バイオマスプラスチック200万トン導入
・本邦エアラインによる燃料使用量の10%をSAFに置き換え
・太陽光パネルのリサイクル施設整備・リユース/リサイクルシステム構築
G7 気候・エネルギー・環境大臣会合におけるサーキュラーエコノミー分野の主な合意事項
2023年4月のG7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合において、サーキュラーエコノミー及び資源効率性についての議論が行われ、主な合意事項が掲げられている。
・重要鉱物等の国内・国際回収リサイクルの強化:電子電気機器等からの国内・国際の重要鉱物回収リサイクルを増加に合意。
・「循環経済及び資源効率性の原則(CEREP)」の策定:民間企業の循環経済及び資源効率性に関する行動指針を策定。
・廃棄物分野の脱炭素化に向けた努力の強化:一次資源利用削減及び廃棄物の最小化を確認しつつ、廃棄物分野の脱炭素化に向けた努力を強化。
・バリューチェーンにおける循環性の測定、情報の共有・活用:バリューチェーンにおける循環性の測定、情報の流通・活用の促進の重要性に合意。
・国際協力の強化:循環経済や廃棄物管理に関する国際協力を進める。
※テックシンカーでは製品単位でのCFPトレーサビリティを支援し、動静脈連携の加速に向けたデジタルソリューションを提供しています。
出所:
・環境省、令和5年版 環境・循環型社会・生物多様性白書
・経済産業省、資源循環経済政策の現状と課題について(令和5年9月)
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